バーチャルVtuber毬戸彰子20歳

バーチャルVTuber・毬戸彰子の雑記ブログです。いい意味でためにならない記事を読みたいあなたへ。

【MTG】「平地6000」の存在証明

はじめまして。バーチャルVTuber*1の毬戸彰子です。

趣味としてMagic:The Gathering(以下、マジック)を嗜んでおります。とはいえ、偉そうに戦略記事なんかかけるほど強いわけでもなく。そういう記事はプロプレイヤーや専門家の皆様におまかせしまして、全くためにならない雑学記事を書きたいと思い、このブログを解説してみました。

マジックのことが中心になるかと思いますが、書くテーマはマジックに縛られず自由に設定していく方針です。百合小説とか同人誌とか好きなので、そのへんの感想とかダイレクトマーケティングとかの記事もそのうち書きたいですね。

そういう感じでゆるくやって行きたいと思いますので、よろしくおねがいします。

さて、第一回目のテーマはマジックが産んだ一つの伝説。『平地6000』のお話です。

 

 

本題に入る前に、枕としてのお話をば。

マジックと伝説。この2つの言葉から、皆様は何を思い浮かべますか?

真っ先に思いつくのはサブタイプとしての「伝説」でしょうか。

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最強の悪役だったり、神だったり。

カードに描かれた事象の唯一性を示すこのサブタイプは、ルールだけではなくカードに豊かなフレーバーを与えてくれる欠かせない存在です。

時にエキスパンションのテーマとしても選ばれ、古くはルールが初登場しその名をまさに冠した「レジェンド」。直近では「ドミナリア」の記憶も皆様には新しいでしょう。また、統率者戦等の彼らを主役にしたルールをもありますね。


ルールではなく語り継がれる「伝説」のほうはどうでしょうか。もちろんこのゲームにはいくつも存在しますね。

例えば、1996年世界選手権決勝戦

この大会の主役となったデッキはネクロディスク

歴代屈指のドローエンジンたる《ネクロポーテンス/Necropotence》によるアドバンテージと、《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》によるリセットによって他のデッキを圧倒し、後に「ネクロの夏」と呼ばれるほど環境を支配します。

当時の最強プレイヤーであったMark Justiceは、ネクロディスクを携えこの大会の決勝戦へと駒を進めました。

もうひとりの決勝戦進出者はTom Chanphengが操るはネクロでは無く白単ウィニー

既にネクロディスクが環境を征服するのを予期していた彼は、ネクロへ対抗するためにプロテクション(黒)をもつ騎士たちを中心にしたデッキを組み上げていたのです。

騎士たちは総勢3種12枚。「12Knights」と称された彼らが最後の希望としてネクロの前へと立ちふさがりました。

世界を征服せんとする黒き魔王と、闇を討ち果たさんと立ち上がった白き騎士団の決戦。その結果はまさかの天の采配と悪魔の裏切り*2によって騎士団が勝利します。

そして、魔王を討ち果たした騎士たちの物語は今に至るまで、「最強のデッキが必ずしも勝つわけではない」というメタゲームのおとぎ話として語り継がれています。


マジックというゲームはプレイヤーたちを語り部にしたデッキたちの神話とも言えるでしょう。ならば北欧神話と聞いてまずオーディンが思い浮かぶように、一番有名な登場人物は誰になるでしょうか? 多くの人はこのカードを用いたデッキを上げるのでは無いでしょうか。

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《精神力/Mind Over Matter》

テンペストブロックはエクソダスに収録されたこのカードは、ブロックをまたいで次のエキスパンションであるウルザズ・サーガに収録されたカード達によって大きな転機を迎えます。
コストである手札を容易に確保する《意外な授かり物/Windfall》、《時のらせん/Time Spiral》。

莫大なマナを生み出すマジック史上最大のやらかし*3《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》。

そして、コンボ中は手札補充として使えながら、最後は相手を対象にすることでライブラリーアウトを引き起こすフィニッシュブローとなる《天才のひらめき/Stroke of Genius》これらのカードがすべて青に集まったことで、一つの怪物が誕生します。

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なんで刷っちゃったのか

その名を「MoMa」。

《精神力/Mind Over Matter》の略称とニューヨーク近代美術館*4の略称をかけて名付けられたマジック史上最高のコンボデッキです。
禁止カードがなかった最盛期には、スタンダードですら1ターンキル率が5%を超えました。そのようなデッキが許されるはずも無く、わずか一ヶ月あまりで《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》と《意外な授かり物/Windfall》がスタンダード及びエクステンデッドで禁止されます。

しかし、キーカードである《精神力/Mind Over Matter》は禁止されなかったため、スタンダードにおいては*5《ドリーム・ホール/Dream Halls》を相棒として迎え入れて復活を果たし、再度環境へと牙を剥きます。

その三ヶ月後、《ドリーム・ホール/Dream Halls》は《時のらせん/Time Spiral》、《水蓮の花びら/Lotus Petal》と合わせて禁止。また基本セットのローテーションで《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》に変わる相棒であった《魔力の櫃/Mana Vault》までも失った上、更には敗北条件のルール改定*6等も合わさり、MoMaはまさしく四肢をもがれた状態となりました。

それでも《実物提示教育/Show and Tell》、《厳かなモノリス/Grim Monolith》、《先細りの収益/Diminishing Returns》といったカードたちで失ったパーツを補完され三度このデッキはメタゲームに名を連ねます。1999年6月の日本選手権で使用率TOPという結果を残し、決勝トーナメントへも一人を送りこみましたが、1999年7月1日。最重要カードである《精神力/Mind Over Matter》の禁止によってその栄光は終わりを告げました。

このデッキが名を轟かせるのは最盛期の伝説的な強さもありますが、弱体化すれども不死鳥の如く復活を果たし、約8ヶ月もの間環境の一線を走り続けたところにあるでしょう。


さて、前置きが長くなりました。

1998年11月、舞台はプロツアーローマ。

《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》すら禁止されていない完全体であったこのデッキを打ち倒すため「だけ」に、一つのデッキが考案されたといいます。

それこそ今回の主役である「都市伝説」。

その名を「平地6000」。

今回語りますは、MoMaが産んだ影であるこのデッキのお話となります。

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平地6000サンプルレシピ

 

とはいえ、読者の皆様に「平地6000」とは何かを詳しくご存じない方もいるかと思われますので、改めて紹介させていただきましょう。

このデッキが広く知られる発端となったのはある掲示板における以下の発言でした。

503:名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2012/07/06(金) 18:38:38.88 id:gboDne8F0

平地千枚は誤り相手はアカデミーとらせんを持っているアーティファクトが20枚の強攻型MOMAだとしても、あいてはらせんを4枚標準装備している相手が場にアカデミー+3枚程度の島を出していて、それに加えてアーティファクトが20枚、そして当然精神力が場にあるとしよう つまり合計25枚手札は最初35枚、ついで34枚さらに33枚、32枚となる これは時のらせんが除外されることによる

つまり20*35+20*34+20*33+20*32=2680相手がフルに回った場合、マナは合計で2680点出てしまう平地千枚ではまず回避できない致死量だそれを克服するためにはおよそ3000枚の平地が必要となるそして出来上がった史上最強の対MoMAデッキが伝説の『平地6000』である※土壇場で「思いきってて倍に仕様案」が通った結果

その平地6000はMoMAの冬でお馴染みのプロツアーローマ98において4-2と言う勝ち越しの結果を残すこととなる

504:名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2012/07/06(金) 18:45:03.31 id:gboDne8F0

俺は今でもはっきりと覚えている対戦相手の場に置かれたストレージ4本を

俺「あのー それは一体・・・」

相手「平地六千枚です ジャッジにも許可もらっているのでシャッフルは免除となります」

俺「平地だけで6千枚なんですか?」

相手「はい 全て平地です なのでシャッフルの意味がありません 当然全マリします」

俺「投了します」

相手「すみません ありがとうございます」

俺は今でもはっきり覚えているこのやりとりを

505:名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2012/07/06(金) 18:50:05.51 id:YOtDIM+F0

2敗は他のデッキ?それともX火力入りMoMA

506:名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2012/07/06(金) 18:54:31.51 id:gboDne8F0

PTジャンクとサイド後火力入りMoMAだったような俺は殺された側だからあまり詳しく覚えてへんのよね うろ覚えだわ

 この一連の流れが、およそ1年後にとあるプレイヤーのDiary Noteによって紹介されたことで「平地6000」の伝説は大きく広まります。

なるほど、MoMaは《天才のひらめき/Stroke of Genius》によるライブラリーアウトデッキです。ネクロディスクに対する12Knightsのように往々にして一強環境ではアンチデッキが現れますが、このデッキはMoMa以外のデッキを倒すことを完全に諦めています。まさしくメタゲームの産み出した異形の徒花と言えるでしょう。

……もっとも、これが「事実」であればの話ですが。

マジックプレイヤーでないのであればともかく、このデッキの実在を信じる人はほとんどいないでしょう。

いくらMoMa一強の環境であろうと、当然他のデッキもいます。MoMa以外のデッキに当たれば自動的に負けが決定するデッキを、まさか大舞台であるプロツアーに持ち込む人間がいるでしょうか?

また、当時の環境に詳しい人ならばご存知でしょう。最盛期のMoMaは頻発するミラーマッチを見据えて、メインから《紅蓮破/Pyroblast》を投入したいわゆる「青タッチ赤」の構成となっています。これによって勝ち手段として《天才のひらめき/Stroke of Genius》だけでなく、より少ないマナで勝利を狙える《火の玉/Fireball》の採用を可能にしています--そう、ライブラリーアウトを対策するだけでは不十分なのです。

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参考:The Finals98優勝者・小宮忠義の使用リスト(MTGWikiより)

さらに、このデッキが広まったのは2013年のこと。それ以前には影も形もありません。もしもこのようなデッキがあれば、当時から語りぐさとなっていることでしょう。

つまるところ、これはMoMaという偉大なデッキの影から生み出された、想像上のデッキというわけです。
しかし、だがしかし、です。当時はインターネットも黎明期。今のようにプロツアーで新たなデッキが現れたら、次の週のFNMで半数のプレイヤーがそれを使っているような状況ではありませんでした。
そして、これが登場したのは、異国の地であるローマのプロツアー。まだ日本がマジック弱小国であった当時、参加した日本人も少なかったことでしょう。
だから、10年以上語り継ぐものが現れなかったのかもしれません。そして、このデッキの存在はなぜ今も語られるのでしょう。それは、このデッキをはっきりと否定する資料や発言が無いからに違いありません。

つまり、このデッキが本当に存在した可能性は0ではないということです。

ならば、挑んで見ようではありませんか。このデッキの存在証明に。

 

さて、デッキの実在を語る前に、まず生じた疑義が一つあります。上述ましたが、このデッキが語られるようになったのはあるプレイヤーのDiaryNoteの記事が発端です。Twitter検索でもこの記事以前の検索はヒットしません。故に、これが平地6000の実在の第一関門となります。

問1・このDiaryNoteの引用元は本当に存在するのか?

記事には出典が某スレとしてしか書かれておらず、明記されていません。

そのため、(当該記事の筆者を疑う事になってしまいますが)捏造である可能性も十分考えられますね。

とはいえ、これを調べるのは容易でした。発言者の名前は「名無しプレイヤー@手札いっぱい。」これは2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)のTCG板のデフォルトネームです。これとID、日付を元に過去ログを調べれば存在を確認できるでしょう。

膨大な作業になるかと思われましたが、そこは2ちゃんねる。日付を指定してID検索が可能であるサイト、必死チェッカーもどきを使うことで即座に調べることが可能でした。検索結果がこちらです。

存在を確認できました。第一関門突破です。

答1・存在する。これはDiaryNoteでの創作ではない。

これの初出は、『【MTG】黒スレPart138【遅すぎる黒の隆盛】』であることが確認できました。……黒スレかぁ*7
逆に実在が危ぶまれるような感じですが、気を取り直していきましょう。存在確認の副産物として、切り取られた発言の前後も確認することができました。

さて、平地6000の存在を調べる前に、このデッキがどのようなものであるのか、1次ソースを整理してみましょう。

まず、ソースによって提示された事実を並べてみます。

  • ①このデッキは、平地6000枚のみで構成されている。
  • ②このデッキは、プロツアーローマ98で使用され発言者(以下、Aとする)によれば、4-2の成績を残している。
  • ③Aが平地6000の使用者ではない。
  • ④Aは平地6000の使用者(以下、B)とマッチングし、敗北している。
  • ⑤Bによれば、負けたデッキはサイド後に火力入りのMoMaとPTJunkである。ただし、この発言はAのうろ覚えであり、事実で無い可能性がある。
  • ⑥Aは「このやり取りをはっきり覚えている」
  • ⑦この発言まで、「平地6000」の話が大きく話題に登ることはなかった。

また、発言から以下のように推測します。

  • Ⅰ・Aが日本語が非常に堪能で2chねらーという重篤ヲタク外国人であるという場合を除き、Aは日本人である
  • Ⅱ-0・AはBとのやり取りをはっきり覚えていて、さらに負けたデッキや構築経緯を聞き出すこともできている。故に、AとBは非常に円滑にコミュニケーションを取ることができていたと推測できる
  • Ⅱ-1・上記の理由から、Bも日本人である可能性が高い(Ⅱ-α)。もしくは、Aは非常に英語が堪能なプレイヤーである(Ⅱ-β)
  • Ⅲ・Aの使用デッキは赤が入ってないMoMaである。
  • Ⅳ・AはBの最終成績を知ることができた。これはⅡ-1の推測を補完する。
  • Ⅴ・MTGWikiより、プロツアーローマ98は3日制であったことが確認できる。故に、Bは初日落ちをしている。
  • Ⅵ・事実⑦より、Aは当時、この珍事をメディアに発信する手段を持たなかったと推測できる。したがってAが有名なプレイヤーである可能性は低い
  • Ⅶ・このデッキは、先述したようにギャンブルに等しいデッキである。故に、Bもまた有名プレイヤーである可能性は非常に低い

以上7つの事実と推論を用いて「平地6000」の存在を論じましょう。

とはいえ、この発言ソースだけでは真実を論じることは不可能なので、PTローマ98の情報を調べて行きます。調査目標は以下の2つ。

①Aの発言を肯定・もしくは否定する公式ソースを発見する。

②A、もしくはBである人物を特定する。もしくは逆にA、Bに当てはまるプレイヤーが存在しないことを証明する。

この2つどちらかが証明できれば、平地6000の存在の真実を知ることが可能です。

では、伝説を探しに行きましょう。今の私はさながら、黄金のコンドルをさがさんとする風来のシレン*8いざ目指さん、テーブルマウンテン

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が……駄目!

頓挫……!

調査は2手目にして頓挫……!!

そりゃそうです。先程も言ったように時は1998年12月。先述したようにインターネット黎明期となります。

今みたいにプロツアー参加者のデッキリストが即座に全公開される、というわけでもなく(だったらどんだけ楽だったか。というかこの記事は必要ありませんね。)MTGwikiのPTローマ98のページを開いても、トーナメント結果へのリンクは貼られていません。WizardsのARCHIVE検索をかけてみるも、結果は当然Not Foundでした。

Google検索しても(英語読めないし)当然有用な記事は見つけられず。暗礁に乗り上げてしまいました。マムルの一匹すら倒せていませんね。

しかしながら、存在を肯定するための一筋の希望は見つけることができました。このプロツアーローマの優勝者であるTommi Hoviのデッキリストです。

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PTローマ98優勝リスト(MTGWikiより)

見ればわかるように、X火力が投入されていません。そう、このPTローマ98。フォーマットはスタンダードではなくエクステンデッドです。さらに、Top8には純正だけでなく《High Tide》型のMoMaも残っています。こちらにもデッキリストにX火力は存在しないので、「X火力が採用されているため、ライブラリーアウト対策のみでは駄目という否定材料が消えたことになります。おお、一歩前進。5F竹林の村くらいの位置には来たんじゃないでしょうか。

しかし、そこで完全に手詰まりとなってしまいました。こうなっては紙面に情報を求めるしかありません。ということで晴れる屋トーナメントセンターへ向かい、本棚に収められたデュエリスト・ジャパン誌に当たってみましたがプロツアーローマ98の記事は全部でわずか10ページあまり。当然、そこに平地6000の文字はありません。ただただ途方にくれるばかりです。
何か、平地6000へとつながる記事は無いかとMoMaに採用されているカードのMTGwikiの記事を片っ端から調べていると、一枚のカードが目に入りました。
それは《Braingeyser》。MoMaのキーカードの一つ《天才のひらめき/Stroke of Genius》の元となったカードですが、このカードの名前を冠したサイトがかつて存在したことを思い出したのです。

今となっては失われて久しいこのサイトは、2chの「MTG Sideboard Online 日本語版」スレの有志たちが翻訳した英語記事*9を掲載していた「まとめサイト」(今やこの言葉も懐かしくなりましたね)でした。

失われたサイトとは言いますが、不完全ではありますが今でもWayback MacineのWebarchiveを通して閲覧することが可能です。

そのとき、《天才のひらめき/Stroke of Genius》とも言える天啓が私に訪れました。記事には当然出典があります。出典先は、現在のMagicthegathering.comではなく、スレタイにも記されたSidebourd Onlineです。このサイトならばもしかしたら、かつてのPTローマ98のカバレージが存在するかもしれません!

逸る気持ちを抑えて、EventCouvageをクリックしてみます。幸いにもリンクは生きていました。シーズンを遡ります。1998-1999Season.Rome (Nov. 13-15, 1998)。これです。クリックすると、そこには

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父さん!ラピュタは本当にあったんだ!

ありました。あの伝説の「MoMaの冬」のカバレージが。

今のようにTOPページにはトロフィーを掲げて微笑む優勝者の画像もありません。が、確かにそれは存在しました。

もはやここはテーブルマウンテンを通り越して黄金郷。ここまでくれば、「平地6000」という黄金のコンドルはもう目の前と言えるでしょう。
さて、では何を調べればよいでしょうか。まず調べるべきは「Bが何者か?」ではないでしょうか?

事実②と推測Ⅴから、4-2で初日落ちしたプレイヤーにあたりを付けてみましょう。が、Fridayの文字をクリックして目に入った文字に私は愕然とします。

Round 7

そう、7回戦目です。A曰く、Bの最終結果は4-2勝ち越しです。

4+2≠7。

いくら計算してもこの結果は覆りません。

もちろん、4-2では通過できないとドロップをした可能性はあります。が、初日通過者をみるとの足切りラインは4-3です。決して諦める成績ではないでしょう。


やはり予感はしていましたが、「平地6000」は存在しませんでした。2chでのほら話なんて星の数ほどありますし、これもその一つにしか過ぎなかったということでしょう。

 

 

 

 

ちょっと待ちましょう。せっかく我々は黄金郷にたどり着いたのです。帰る前にもう少し考えてみても罰はないでしょう。

最初私がこのPTローマをスタンダードと勘違いしていたように、もしかしたら何か誤った認識があるのかもしれません。

そこで事実のソースもう一度確認したところ、推測Ⅳに重大な見落としがあることに気づきました

ソースによれば、Aは平地6000を「4-2勝ち越しという結果」と書いています。しかし、どこにも「最終成績」やそれに類する言葉を書いていないのです。

つまり、AはBの「自分が知るところまでの成績」を書いている可能性を考えることはできないでしょうか。

とはいえ、その場合一つの謎が浮かび上がります。

問2・なぜAは、Bの最終成績ではなく中途半端に「勝ち越し」という結果を書き込んだのか?

これに答えられなければ、いくらでもこじつけが可能となってしまいますのでまずはこれに答えを探さなければなりません。

ということで、必要な情報をソースに求めて見ますが特にそれを類推できるような言葉はありません。しかし、存在しないことで逆説的に推測が可能です。

私もそうなのですが、人が文章を書いたり、何かを説明するときやりがちなミスとして「筆者が自明である、と考えているものについての説明を省きすぎてしまう」ということがあります。

筆者にとっては十分な情報を載せているつもりでも、読者には伝わらないということは往々にしてあるものです。

では、Aにとって自明であるが記されるべき重要な情報とは何でしょうか。事実⑥より「AはBとのことをはっきりと覚えている」にもかかわらず、記載されていない情報が一つだけありますね。「Aはいつ、Bと対戦したのか」です。

問3・AとBが対戦したのは何回戦目か?

さて。Aはなぜこの情報を省いてしまったのでしょうか。

問2と問3を同時に考えると、Aにとって何回戦目にBと対戦したかは、自分が知るところまでの結果を書いたことで自明であったからと推測できないでしょうか?

つまり、この2つの謎の答えはこうなるのではないでしょうか。

答2・BはAに勝った結果、4-2となったから。

答3・AとBは第6ラウンドでマッチングした。また答2より、このとき彼らの成績は3-2である。

ではこの答えを元に、もう一度カバレージを見てみましょう。

今と同じく、PTローマ98の途中経過のスタンディング及びペアリングはすべて見ることが可能となっていました。これにより、AとBの可能性のある人物について大きく絞ることができます。

推測Ⅰより、Aは日本人。つまり、Aに当てはまる人物は、「第5ラウンド終了時点でマッチポイントが9点の日本人」となります。ではこれに当てはまる日本人を抜き出してみると、以下の三名となりました。

84 Ando, Kotaro 9

105 Nobushita, Jun 9

108 Tsukumoto, Toshiki 9

 このカバレージには各プレイヤーのデッキリストこそありませんが、代わりに全プレイヤーのプレイヤープロフィールが掲載されています。彼らの素性もある程度は知ることができましょう。個別に彼らについて簡単にですが調べてみましょう。

Ando氏についてはプロフィールでは(Andaと誤字されていますが)当時20歳の学生であることしかわかりません。名前でGoogle検索してみますと一件のカバレージがヒットしましたが詳細はつかめませんでした。申しわけありませんが、少なくとも「有名プレイヤー」のくくりからは外してしまっても良いでしょう。

次にNobushita氏。これはフルネームでピンと来る方もいるかも知れませんが信下淳氏に違いないでしょう。MTGWikiに名前があり、実績も十分な有名プレイヤーですね。

そして、Tsukumoto氏。Google検索しても引っかからず、さらにプレイヤープロフィールを探しても見つからず、首をかしげました。

では、と全プレイヤーのプロフィールを眺めているとIsukamoto, Toshikiなる名前のよく似た人物がいました。そう、この人物の正体は当時の日本チャンピオン・塚本俊樹氏です。(こんだけ誤字られるってどんだけ文字が汚かったのか)

答2の逆を取ればAの第6ラウンド終了時点の戦績は3-3、マッチポイントは9点のままです。つまり、第6ラウンド終了時点のスタンディングで全員が12点であった場合、Aの存在は否定されます。では、彼らの第6ラウンド終了時点のスタンディングを確認しましょう。

70 Ando, Kotaro 12

76 Tsukumoto, Toshiki 12

117 Nobushita, Jun 9 

9点であったのはNobushita, Junただ一人。つまり、この時点でAが信下淳氏以外である可能性は無くなりました。これは推測Ⅵと矛盾しますが、あくまでも推測なので、一旦目をつむりましょう。有名プレイヤーであることは推測②-αに当てはまる可能性が大きいということでもありますからね。

問題は、Bです。この狂気とも言えるデッキを持ち込んだのは彼の第6ラウンドの対戦相手になります。ペアリングを見てみましょう。

55 Kröger,Peer Nobushita, Jun

Peer Kröger。彼こそがBです。

さて、どのような人物でしょうか? プロフィールを見てみましょう。

Name : Kröger, Peer Age : 23

Country : Germany

How long played : Since The Dark

Best tournament accomplishments : German national Champion '96, Top 8 National Championships '97, Top 8 PT Dallas, Top 8 PT Mainz '97, 30th PT LA '98, 17th PT NY, Top 8 GP Antwerp '98

 ………………うん。

96年のドイツチャンプと書いてあります。プロツアーTOP8経験も二回と書いてあります。このあとも世界選手権03でTOP8に入っています。

仮に現在の日本人プレイヤーに当てはめてみると、この記事の執筆現在(2020年4月)、2年前の日本選手権2018の優勝者は原根健太選手です。想像してみましょう、彼がプロツアーに平地6000を持ち込む姿を。

 

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平地6000を使うJ-SPEEDの想像図

 ……この冒涜的な光景を真実として発表する人間を見かけたら、皆様はどうしますか? 私はとりあえず精神科への通院をおすすめします。

さて、ほとんどありえない結論が提示されてしまいましたが、さらに追い打ちをかける事実が一つ。

推測ⅤによればBは初日落ちしていることになりますね。これは、Saturday Coverage内のReport day 2に詳細なメタゲームに「Mono Plains」みたいなデッキが無いことから、間違いない事実となります。

そして、Peer Krögerの初日最終成績は5-2-1の初日通過。つまり信下-Kröger説は完全に否定されてしまいました。

このままでは、残念ながらAは存在せず、したがって「平地6000」は存在しないという結論となってしまいます。

とすれば、何か事実の思い違いがあった、という可能性を検討するしかありません。

では、Aはどこを間違えたのでしょうか?以下の2つのどちらか、と私は推測します。

  • 推測Ⅵ-α・Aは最終成績を記載していたが、それを間違えて記憶していた。Bの最終成績は4-3である。
  • 推測Ⅵ-β・AはPTローマと別の大型大会を取り違えている。

まずは推測Ⅵ-αの場合を考えてみましょう。Aは事実⑤を「あやふや」といっています。つまり、もう一つ負けたデッキがあったが覚えていなかったり、「赤入りMoMaに2回、PTJunkに1回負けた」という話を1回ずつと覚え違えていたという可能性です。ここからAは試合数を逆算してしまい、初日最終ラウンドを第6ラウンドと勘違いしたとは考えられないでしょうか?

また、当時とは違い、現在のPT*10は構築とリミテッドの複合で行われています。初日の内訳はリミテッド3回戦と構築ラウンド6回戦。このためPTローマの初日も構築6回戦だったという思い違いが発生した。十分とは言い難いですが、根拠とはならないでしょうか。

では、この推測を元に、もう一度Aの候補を絞り出してみましょう。

117 Nobushita, Jun 9

125 Itadani, Esiaku 9

131 Fujita, Osamu 9

144 Sasaki, Yusuke 9

147 Niwa, Takashi 9

157 Maki, Koichiro 9

162 Muranaka, Aaron 9

 以上7名。

ひと目で分かる有名プレイヤーとして、前述の信下氏に加え、WizardsのスタッフでPTやGP放送でもおなじみの真木孝一郎氏、GPTOP8回数9回で、現在でもBigMagic所属プレイヤーとして活動する(04/08修正。藤田剛史さんと勘違いしていました。申しわけありません。)藤田修氏が並びます。

そして、この中で最終スタンディングが9点だったのは真木氏とMurakami氏を除く5人となりました。

 

また、この5人とマッチングしたプレイヤーは残念ながら全員初日通過することができませんでしたので、Bは以下の人物のいずれかとなります

  • 1・Nobushita, Jun氏とマッチングしたBaker, James
  • 2・Niwa, Takashi氏とマッチングしたGieling, Vincent
  • 3・Itadani, Esiaku氏とマッチングしたLamr, Martin
  • 4・Fujita, Osamu氏とマッチングしたFletcher, Brian
  • 5・Sasaki, Yusuke氏とマッチングしたD'Hondt, Jean-Louis

事実⑦の通り、2013年までこのデッキが語られなかったことを考えると藤田氏や真木氏の線は薄いでしょう。

Itadani氏も調べてみるとMTGWikiに記事があるプレイヤーであったため可能性は薄い。Sasaki氏もMTGWikiに記事こそありませんでしたが、英語のGPカバレージを見つけることができました。どうやらPTに何度も出場しているプレイヤーのようです。そして、Niwa, Takashi氏に関する情報は残念ながら見つけることはできませんでした。

というわけで、A,Bである可能性が高い順に

2≧5>3>>>1,4

と私は考えます。

他にも「6ラウンド以前にマッチングし敗北。そのデッキの異様さに初日終了後彼を見つけて最終成績を聞き出した」のような検討しなかった細かいパターン分岐も考えられますが、これらの可能性を調べるには更に詳細な資料が必要となります。

公式カバレージ以上に詳細な資料となると、これはもう参加したプレイヤーに尋ねるしか無いでしょう。というわけで、私個人で「PTローマの参加者で、AもしくはBである可能性が高い」と結論づけることができる人物は以上5組が限界となります。

 

では、推測Ⅵ-βはどうでしょう。

MoMaの冬」における大型大会はPTローマともう一つ、The Finals98がありました。

Aは両方の大会に出場していたため取り違えたという可能はどうでしょう。

残念ながらThe Finalsのウェブカバレージを見つけることができなかったので、前述の手法を使いA,B候補を調べることはできません。また、この場合推測Ⅱ-βにすべてのプレイヤーが当てはまりますが、Aの語る内容の多くが間違いということになってしまいます。

予選のラウンド数も見つけることはできませんでしたが、Wikiに参加者数は記載されていました。ここから割り出される規定ラウンドは現在の基準と同じであれば7回戦となります。最終成績を書いている場合、やはり成績を間違えていることになりますね。

また、Aは負けたデッキをPTJunkと書いていますが、これはエクステンデッドのデッキ名です。間違えるデッキ候補として3CWがあるにはありますが少し苦しいですね。

これに加え「火力入りMoMaに1度しかマッチングしない」という条件まで加わります。更に、これはローマとは違い東京で行われた大会です。マッチングしなくともその異様な光景を見た他のプレイヤーたちが誰も語り継がないとは考えられないですね。

この推測を採用するのは流石に不可能だと私は思います。

 

○まとめ

個人での調査は私では以上が限界でした。という訳で、以下の仮説が私の「平地6000」の存在予想となります。 

Aの発言がすべて正しいと仮定した場合、Aは信下淳氏、BはPeer Kröger氏となる。しかし、Bに当てはまる人物は当時の世界的な強豪プレイヤーであり、「平地6000」を持ち込む可能性は限りなく0に近いうえに、Peer Kröger氏は初日を最終的に5-2-1で突破しているためAの発言がすべて正しいことはありえない。

発言の誤りがあると考えれば、Aが4勝2敗を4勝3敗と勘違いした可能性が考えられる。その場合5組のパターンが考えられ、AとBは共に有名プレイヤーで無いという推測を考えるに、以下のどちらかの可能性が高い。

1・A=Sasaki Yusuke氏、B=Jean-Louis D'Hondt氏
2・A=Niwa Takashi氏、B=Vincent Gieling氏 

「平地6000」を完全に否定する根拠と肯定する根拠。どちらも今回の調査では見つけることはできませんでした。

しかし、推論だらけでありますがAの発言に間違いがあることと、それでも持ち込んだ可能性が残るプレイヤーが存在することを証明できました。

ここまでくれば、あとはインターネットの集合知で解決可能ではないかと思います。もちろん、存在しないという可能性のほうが遥かに高いでしょう。でも、影をすべて祓うまではそこに「平地6000」はいるかもしれません。ここまでこの記事を読んでくれた人の中にそれを祓える人がいてくれれば、と思います。


それでは初記事にして長文となりましたがここまでのご拝読、ありがとうございました。次回の記事でお会いしましょう。

*1:バーチャルVtuber……Vtuberといえば「アバターを用いた仮想Youtuber」を指す言葉であるが、バーチャルVtuberはそのもう一段階上である「仮想の『アバターを用いた仮想Youtuber』」。つまり、存在しないVtuberのこと。バーチャルネットアイドルを祖先とする由緒正しき存在である

*2:天の采配と悪魔の裏切り……悪魔の助けによって騎士団を追い詰めた魔王・Mark Justice。騎士団は絶望的な状況であったが天の助けにより体制を立て直すことに成功する。そして魔王は勝利へ万全を期すためにもう一度悪魔へと願ったが、その強欲の対価として知識を根こそぎ奪い去っていった。これにより騎士団は魔王を討ち果たすのに成功したのである。これを熊本弁からほんやくすると「ラストドロー天秤トップデック」と「デモコンデス」となります。

*3:マジック史上最大のやらかし……これに並び立つものとして初代ミラディンブロックの「親和カード」郡及びアーティファクト土地、ミラディンの傷跡ブロックにおける「Cow-Blade」の主役であった神こと《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》等が挙げられるが、令和になってそれを上回る大失敗野郎が現れた。《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》、オメェがナンバーワンだ。

*4:ニューヨーク近代美術館……マンハッタンのミッドタウン53丁目に位置し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂。(WikiPediaより引用)MTGWikiでは『(皮肉で)ソロプレイ時の美しさを表している。』と書かれているけど、個人的には違うと思う。だって美術館で我々ができるのは「かんしょう」しか無いでしょう?

*5:スタンダードにおいては……エクステンデッドでは、《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》《意外な授かり物/Windfall》禁止後はHighTideを使用したハイタイドモマが台頭した。このデッキはKai Buddeへグランプリウィーン99及び世界選手権99の栄冠をもたらす。その後、99年10月にエクステンデッドでも《精神力/Mind Over Matter》は禁止され、当時タイプ1と言われたヴィンテージでも同時に制限された。その後ヴィンテージでは2005年9月20日、レガシーでは2007年6月20日に解禁されるが、その重さから往時の輝きは取り戻せていないが《時のらせん/Time Spiral》が2011年1月1日からレガシーで解禁されたことによりハイタイドが実践級として構築可能となり、その系譜をほそぼそと受け継いでいる。

*6:敗北条件のルール改定……今では考えられないが、5版ルールまではライフが0を下回ってもそのフェイズが終了するまでは敗北しなかった。ライフが0以下になったとしても、そのフェイズ中にライフを1以上に戻せば敗北しなかったのだ。MoMaにおけるこのルールの恩恵は、1・コンボ中に古の墳墓や真鍮の都をアンタップし続けてることができる。2・上記の状態であっても勝利手段がライブラリーアウトであるため敗北条件を回避できる、と非常に大きかったのである。

*7:黒スレかぁ……2chには当時5色それぞれに雑談スレがあり黒愛好家が集まっていたのは当然このスレ「だった」。時は2011年、SOM-ISDブロックのスタンダードにて黒の大不遇時代が到来。黒スレ民たちは自虐に自虐を重ね「一人去るとき」等の傑作コピペを続々生産。TCG版屈指のカオスネタスレとして別方向に発展していったのである。要するに「歴史研究で唯一見つけたソースが東スポだった」みたいな感じ。

*8:風来のシレン……正式名称は『不思議のダンジョン2 風来のシレン』。『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』に続く不思議のダンジョンシリーズの第2弾として1995年12月1日にスーパーファミコン用のソフトとして発売。黄金のコンドルが棲むと言われる、幻の黄金郷の伝説を求めてテーブルマウンテンを登頂することが主な目的である。洞窟ダンジョンのほか林や峠など屋外フィールド、さらには集落や町が登場し、旅の途中での体力回復・アイテムの購入ができるようになった。また、初心者の冒険の一助となるフェイの問題(パズルモード)も本作で初めて追加されている。(Wikipediaより引用・一部改変)ちなみに私はプレイしたことがない。ローグライクとしてはトルネコ2からふしげんシリーズを嗜むけど……小傘ぜってぇ許さねぇからな……。

*9:有志たちが翻訳した英語記事……今では当然のようにマローの妄言を拝聴することができるが、当時は日本語公式WebサイトもWizards直営ではなかったのでこうした有志による翻訳記事は貴重な情報源であった。また、翻訳者リストにある杉井光という名前にどこかで聞き覚えは無いだろうか? そう、神様のメモ帳シリーズの作者その人本人である……らしい。(詳細なソースは忘れたので言葉は濁す)

*10:現在のPT……このリミテッド+構築混合の形式が導入されたのはプロツアー京都09であった。そして、まつがんこと伊藤敦氏が持ち込んだデッキが「勝ちたいなら勝ちたいって言ってよ!」という迷言を産んだあの青白GAPPOである。